まだ終電前で良かった。
家に帰るまで、何も考えられなかった。
感じるのは、ただ寂しさだけ。
お金とか、権力とか。
やっと、意識しないで社長に向き合えるようになってきたと思っていたのに、
まさかそれを振りかざして脅されるようなことになるとは思わなかった。
富山 基久は、私の父。
両親は私が小学校に入る時に離婚していて、それ以来ほとんど会っていないけれど、たまに手紙をくれる。
父はサラリーマンとして働く傍ら小説を執筆していて、いくつか書籍も出している。
父の夢は職業作家になること。
母との離婚の原因の1つでもあったみたいなんだけど。
私が本を好きになったのは、小さい頃に父がたくさん読んでくれたから。
絵本だけじゃなくて、いろいろ読んで聞かせてくれた。
当時は意味が分からないことも多かったけど、本を読んでくれる父の声は穏やかで心地よくて、
私はその時間が大好きだった。
今では父の事を陰ながら応援していた。
社長の言った通り、もし父の本を求めるお客さんが来てくれた時、必ず手に取ってもらえるようにと欠品しないようにしていた。
職権濫用と言えなくもない手段だったけど、まさか社長に知られているとは思わなかった。
もし社長が腹いせにこのことを私の会社に通報したら、私は解雇になるのかな、と心をよぎったけれど
きっと社長は、そんなつまらないことはしない。
家に帰るまで、何も考えられなかった。
感じるのは、ただ寂しさだけ。
お金とか、権力とか。
やっと、意識しないで社長に向き合えるようになってきたと思っていたのに、
まさかそれを振りかざして脅されるようなことになるとは思わなかった。
富山 基久は、私の父。
両親は私が小学校に入る時に離婚していて、それ以来ほとんど会っていないけれど、たまに手紙をくれる。
父はサラリーマンとして働く傍ら小説を執筆していて、いくつか書籍も出している。
父の夢は職業作家になること。
母との離婚の原因の1つでもあったみたいなんだけど。
私が本を好きになったのは、小さい頃に父がたくさん読んでくれたから。
絵本だけじゃなくて、いろいろ読んで聞かせてくれた。
当時は意味が分からないことも多かったけど、本を読んでくれる父の声は穏やかで心地よくて、
私はその時間が大好きだった。
今では父の事を陰ながら応援していた。
社長の言った通り、もし父の本を求めるお客さんが来てくれた時、必ず手に取ってもらえるようにと欠品しないようにしていた。
職権濫用と言えなくもない手段だったけど、まさか社長に知られているとは思わなかった。
もし社長が腹いせにこのことを私の会社に通報したら、私は解雇になるのかな、と心をよぎったけれど
きっと社長は、そんなつまらないことはしない。

