一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~

「失礼します。」

「待って、紗良―」

「近寄らないでください。」

こんなに冷たい声を出したのはきっと初めて。
バッグをひっつかんで玄関へ向かっていると、社長が書斎として使っているらしい部屋から石川さんが飛び出してきた。

「紗良さん?どうされました!?」

「帰ります。」

「でしたら、お送りしま―」

「結構です。」

意思は固いけれど、興奮状態を見られるのは癪なので靴をきちんと履き、

「今までお世話になりました。」

と石川さんに一礼して玄関を出た。

社長は、追いかけて来なかった。