「その中に、あるんだよ。
富山 基久の作品も。」
予想外の名前を耳にして、息が止まる。
「君の・・・お父さんだろう?」
やっぱり調べてるんだ、私のことを。
「知ってるんだよ。君が、お父さんの本は欠品させないように必ず店に並べていること。
さりげなく目立つ位置に並べていることも。
俺なら、君のお父さんに大賞を取らせることもできる。
もし君が―」
「あなたと結婚するなら、ですか?」
社長が私の肩を抱く手に、力が入ったのが分かる。
「紗良―」
社長の腕を引きはがして立ち上がり、社長に対峙する。
「ひどいです、こんな・・・父の事まで持ち出して脅すなんて・・・・。
私が好きだった彬くんは、昔の、優しかった彬くんであって・・・。
今の、一時の物欲のために権力を振りかざすような社長じゃない。」
社長に意見する時はつい声が大きくなって早口になっていたけれど、
今は驚くほど冷静に、ゆっくりを話している。
まるで社長にではなく、自分自身に言い聞かせているみたいに。
富山 基久の作品も。」
予想外の名前を耳にして、息が止まる。
「君の・・・お父さんだろう?」
やっぱり調べてるんだ、私のことを。
「知ってるんだよ。君が、お父さんの本は欠品させないように必ず店に並べていること。
さりげなく目立つ位置に並べていることも。
俺なら、君のお父さんに大賞を取らせることもできる。
もし君が―」
「あなたと結婚するなら、ですか?」
社長が私の肩を抱く手に、力が入ったのが分かる。
「紗良―」
社長の腕を引きはがして立ち上がり、社長に対峙する。
「ひどいです、こんな・・・父の事まで持ち出して脅すなんて・・・・。
私が好きだった彬くんは、昔の、優しかった彬くんであって・・・。
今の、一時の物欲のために権力を振りかざすような社長じゃない。」
社長に意見する時はつい声が大きくなって早口になっていたけれど、
今は驚くほど冷静に、ゆっくりを話している。
まるで社長にではなく、自分自身に言い聞かせているみたいに。

