久しぶりに会った中学時代の友人と話すのはすごく楽しかった。彼女の口から飛び出すのは新しく高校でできた友達の話。私も彼女に変に思われないように高校の友達の話をした。

「プリ撮ろ!!」

そう言ったのは私。LINEやtwitterのトプ画にするためだ。そういうのは定期的に変えた方がいろんな人と遊んでいるという印象を与える。そして、その友人と流行りのカフェでインスタ映えを狙う。そうやって普通を装う。そして、夜遅くまで楽しんでその友人と別れた。

家に帰った。両親はまだ帰ってきていない。私一人しかいない静かな家だ。どんな日も一人になったこの瞬間が一番落ち着く。多分これが私本来の姿なんだろう。しかし、こうしてはいられない。今日撮った写真やプリクラを加工してtwitterやInstagramにアップしていく。一定数のいいねで私は自分がしっかりやれていることを確認するのだ。

そして全てを忘れるように私はベットの海に深く深く沈んだ。明日なんて来なくていいのになんてそんな事を考えていた。

きっとここまでのエピソードを読んだだけでも私がひねくれていて屑な人間だということが伝わったのではないだろうか。別にこんなに興味のない事を頑張ることが苦なわけではないが、ふと冷静になるとなんとも言えない気持ちに心が沈むのだ。

私の願いも虚しく、朝は私を嘲笑うかのようにまたやってきた。朝起きてまずは数少ないLINEをチェックする。会話が途切れないように細心の注意をはらった。学校でLINEを開いた時に誰からもきていないという状態を避けるためだ。そして昨日の投稿の反応を見て自分が間違っていないことを確かめる。

「大丈夫。今日もやれる。」

そう小さくつぶやいてベッドから飛び起きた。髪の毛を綺麗にセットして、シャツの第一ボタンは開け、リボンは緩めて、スカートを折って、大きめのスクールニットを着て、クラスの中心メンバーが好きなビビットピンクの某スポーツブランドのリュックを身につける。そうやっておしゃれな女子高生になる。着こなしがダサければそれだけで二軍三軍に降格してしまうからだ。そして、茶色のローファーを履いて家を出た。サイズのあっていないその靴は私の足に痛々しい靴擦れを作っていた。