――愛してる…… 梨佳は雨雲に覆われた、夜の空を見上げていた。 「…大河……」 月も星もない暗闇から、街燈に照らし出された雨粒が、白く光りながら落ちてくる。 仰ぎ見る梨佳の顔に容赦なく降り注ぐ。 「大河…」 ――愛してる… 交錯する感情。 梨佳は氾濫する記憶に、その想い人の名前が沈んでしまわないように、 何度も繰り返しつぶやいた。 「大河…、大河……」 ――大河……