これが、彼女との出会いだった。

「橘さー・・・。」

「なに?」

「・・・なんでそんな一生懸命に掃除すんの?」

せっせと床を綺麗に拭く彼女が不思議だった。
学校の掃除なんて誰が一生懸命やりたいと思うのだろうか。
こんなに面倒なことを・・・・。

「・・・秘密。」

そう小さく微笑む橘に、さらに疑問は深まるだけであった。

「変な奴・・。」

普段も、教室で本を読んでいる彼女。
しかし、友達がいないわけでもない。
休み時間になると、一人で本を読み、誰かが話しかければ、それに答える姿を、よく目にしていた。
どこか、可憐な彼女。
儚いその姿は、桜が散る様な錯覚に陥る。