物音で目が覚めた


「あれ、初花帰ってきてるのー?」


酔っ払ったお母さんの声にビクリと体が反応する


「は、はい」


「お邪魔しますー」「お邪魔しまーす」



やっぱり知らない人の声も聞こえる

今日は2人…?



「あんた入院って何したの?死ぬの?」


私の顔を見るや否やケラケラ面白そうに笑うお母さん


「いや、ただ、風邪を……」


「あっそ。もうめんどい事しないでくれる?死ぬならひとりで勝手に死んでよね」


「ごめんなさい…」


キュッと唇を結んで涙がこぼれそうになるのを堪える


「久しぶりにあんたの顔見ると本当イライラしてきた」


その瞬間 パシッ という音が響き、私の右頬がズキズキと痛んだ


「ん、っ………」


「おやすみなさい、初花ちゃん」


語尾にハートマークをつけたようなわざとらしい声でそう言ったお母さんは、私の脇腹を蹴飛ばして部屋を出た