「いやいやいやいや!」

宏美が首を横に振った時、
「待って、宏美は私のよ!」

心美がもう片方の腕をつかんできた。

「だから、ミヒロだってば!」

宏美は言い返した。

「すげー両手に花だぜ」

そう言った大山に、
「モテモテだな」

武藤が返事をした。

「でもうらやましいかどうかと聞かれたら…」

卓真が言ったら、
「そうでもないんだよな、これが」

宗助はやれやれと言うように息を吐いた。

「おい、助けろ!

戻ってきて早々、俺はどうすればいいんだよ!?」

宏美が彼らに向かって助けを呼んだ。

両腕をつかまれてしまっている以上、この場から逃げることもできなければ隠れることもできない。