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宏美と出会ったのは、母親を通じてだった。

同じ産婦人科医に通っていて、出産予定日が同じ時期だったからと言うことから、母親たちは親しくなった。

心美は1月に生まれ、宏美はその1ヶ月後である2月に生まれた。

同じ時期に生まれた2人は、常に一緒だった。

特に身長が自分よりも低くて、顔立ちからよく女の子に間違われていた宏美の面倒を心美はよく見ていた。

あの頃の自分たちの関係を一言で言うならば、“姉弟”と言った方が正解だ。

少しマイペースなところがある弟的な存在の宏美とそんな彼を常に引っ張っているしっかり者の姉的な存在の心美を、周りは微笑ましそうに見ていた。

「心美ちゃんが宏美のお嫁さんになってくれたら、私も安心して任せられるわ」

「私も宏美くんが心美のお婿さんになってくれたら、すごく安心だわ」

母親たちは自分たちの関係にそんなことを言って笑いあっていた。