診察室に着くと、髪の毛が一本も見当たらない精神科医のおじいちゃんにもう何回目になるか分からない質問がされた。


「昨日、君が朝起きてから病院に来るまでの流れを全て説明してくれるかい?」



昨日は朝7:00に起きて、と今までと同様に説明するが、いつもと同じところで言葉が詰まる。



夕方頃からの記憶が思い出せないのだ。



正直に話すと先生は眉間に皺を寄せて紙にペンを走らせた。