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誰もいない。隣にいるあなた以外は…
目を閉じると波の音だけが静かに寂しく響いている。
白い砂浜で青く澄んだ海と空。木々も鮮やかな緑に染まっている。
「 」
あなたは何か言ったけど小さく震える声で聞こえなかった。
「…行こっか」
私たちは…









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「ねぇ、ねぇってば!」
1人の少女が少年と話している。
どうやら少年は少女のことを振り切ろうとして、ひたすら無視を続けているらしい。
「どうして無視するの…?嫌いになっちゃったの…?」
「違うよ。そうじゃなくて、今は静かに海を見ていたいんだ。」
「なぁんだ、それならそうとはじめから言ってよね!…私も静かにあなたの隣に居るわ。いい?」
「うん。」

少年と少女は砂浜に流れ着いた流木の上で並んで座り、じっと海を見つめている。

ところで、ここはどこなのだろう。
白くキラキラと煌めく砂浜、澄んだ海、積乱雲が浮かんだ空、穏やかな風に揺れる緑豊かな木々、緑が多い茂った地面に立ついくつもの木造の平屋、奥を見れば協会や線路が見える。
どうやらここは小さな村らしい。
彼らはそこに住んでいる子供なのだろう。

「私たち、このままずっと一緒だよね?」
「そうだね、ずっとだよ。」

日が沈んでいく。

「お腹空いた?」
「少し。」

オレンジの光が空に広がり海にも反射する。

「…最近病気の調子はどうなの?」
「………悪くは無いよ。」

太陽が海に沈んでいく。月が顔を出し始めた。

「…そっか。」

星々がうっすらと見える頃に、彼らは平屋へとゆっくり戻って行った。

「ご飯少し待ってて、急いで作るから!」
「急がなくていいよ?待てるからさ。」
「ううん、急ぐ!私だってお腹すいちゃったもん!」
「ふふっ、じゃあお腹を空かせて待っているよ。」
少年はキッチンから離れ、個室に向かった。
ドアをぱたりと閉め座り込む。
「そろそろ、なのかな。あんな約束、するんじゃなかったな。」
床に這うように蹲り、咳き込んでいる。
「…はぁっ…はぁっ…苦しい…」

「ご飯できたよ〜!」
返事がない。
「部屋にいるの?」
返事がない。
「…開けるよ?」
返事がない。
開けるとそこには少年が倒れ込んでいた。
「──っねぇ!!!」
少女は倒れている少年に飛びつき声をかけるが、反応はない。
「お願い…嫌……」
少女の頬に露が流れ落ちる。

星が美しい。