「あれっ、スマホがない…」




春馬くんがスーツのポケットを探りながら、突然呟いた。




「ええっ?また?」




二人して辺りを見回すと、ソファの下にそれは落ちていた。




「ナツが帰ってくる前に急いで待機しなきゃと思って焦ってたから、そのはずみで落としちゃったのかなぁ。」




そう言いながら春馬くんが拾おうとしたスマホを、私が拾う。




「外で絶対落としちゃダメだからね!電話で春馬くんの声聞くだけで、ときめいちゃうんだから。」



あの頃の私と同じように、運命的な出会いだ!って思っちゃう女の子が現れちゃうかもしれないんだから。




すると、春馬くんがあの頃と同じように、スマホを通り越して私の手首を掴んだ。





「ナツのヤキモチ妬き〜!」





そう言いながら、ぎゅっと抱きしめてくれる。




「春馬くんだってヤキモチ妬くくせに!」




私もぎゅーっと抱きしめ返す。




「じゃあ、お互いヤキモチ妬かないために…」





そう言いかけた春馬くんは、私を抱きしめたまま耳元で続きを囁いた。















「もう、離さないから。」















ーENDー