「どうして？さっきも言ったじゃないか、約束通り迎えに来たって。それとも、僕の約束を忘れたのか？」
以前ナツから聞いた、秋山先生の話。
『夏海俺を信じて必ず迎えに行くから』
そのメールを最後に、連絡が取れなくなったという内容だった。
だから、もう待ってないって。
迎えに来るなら、とっくに来てるはずだからって。
恋愛に臆病になっていたナツは、そんな過去と決別して俺のところに来てくれたんだ。
だけど…
「もしかして、夏海の彼氏？ごめんね、僕が迎えに来るのが遅くなっちゃったから、他の男で寂しさを埋めてたのかな。」
目の前の男は、ナツから聞いていたような人柄とは、まるで違う人間だ。
…いや、そんなことは置いておいて。
ひとまず、この場をなんとかしないと。
そう思い、息を吸い込んだ時だった。
ナツが秋山先生に向かって言ったんだ。
「…帰ってください。」
