「初めまして。夏海さんの高校の数学教師をしています、須賀と申します。」




春馬くんの挨拶に、お母さんの笑顔が消えた。




「…先生が、うちに何のご用ですか?」




そんなお母さんの一言に、春馬くんは頭を下げた。




「申し訳ありません。僕は、夏海さんとお付き合いをさせていただいております。」





今までにないくらい、心臓がバクバクしている。




だけど、私もちゃんと伝えなきゃ。




「お母さん!あのね、先生と出会ったのは、私が学校行けてなかった時だったの。だからお互い、教師と生徒って知らずに付き合い始めて、久しぶりに学校に行った時にそれを知って…。だ、だからね…」




春馬くんは悪くないの。




…そう、言おうとしたら。









「知ってたわよ。」




お母さんが静かに、そう呟いた。




春馬くんが顔を上げ、驚いている。