「いやぁぁぁぁ!!!」
これは誰の叫び声?
ぼやけた瞳、震える指。
あぁ、これは私の声。
血濡れた彼の瞳はもう私を映さず。
狂った女の笑い声が聞こえてくる。
真っ赤なワンピースを嬉しそうに広がせて
彼を消した憎い女は笑い狂う。
ねぇ、あなたはもう動かないの?
いつものように笑って抱き締めてはくれないの?
優しく頭を撫でてくれないの?
私はここにいるよ。
ここにいるのに。
気付いて、気付いてよ。
笑ってよ………笑って!!
「ねぇ………起きて……」
ようやく動いた私の足はあなたに駆け寄り、そっと抱き上げる。
あなたは動かない。
「……ねぇ、もうわかったから………」
私の涙があなたに降り注ぐ。
あなたは動かない。
「…お願いだから…」
唇にそっと口付ける。
あなたは動かない。
唇に伝わったのは、吐き気のする鉄の味。
「起きてよぉぉぉっ!!」
「あはははははははは!」
私の嘆きと女の笑い声が、重なる。
私の中の時間は、そこで止まった。