彼の待っている所は街の中央の噴水。



そこは私と彼の思いが通じた思い出の場所。


私も彼も大好きな場所。



悩む時も、喧嘩した時もいつもそこで時を過ごした。



今日も始まりと最後はそこで過ごす事にしていた。





そこが彼との最期の時を過ごす舞台になるとは知らずに………




「……………あ!」




見付けた!
見慣れたあの柔らかい黒髪を、優しい緑の瞳を。



私はケーキの入った箱と時計を入れた包み紙をしっかり握りしめて、彼の元へ。






……………駆け出せなかった。




そこに居たのは彼だけじゃない。







柔らかな長い金髪をなびかせた赤いワンピースの女性がいた。