時は戻る事はない。
それが自然世界の暗黙のルール。
それを私は忘れていた。
忘れて私はひどい過ちを犯してしまった。



「………こんな事……あなたは望んでないだろうね………」




そうだ。
私は何で忘れていたんだろう。
私が一番わかってたはずなのに。
……彼が、誰も恨もうとしない優しい人だって事を。


……私が醜かっただけなんだ。
自分勝手な復讐心で結局あなたが幻滅するような過ちを侵してしまった。
…………ごめんね。
私は、あなたに愛される資格なんてなかったんだ。



「……私、何がしたかったんだろうね」



窓の外から壊れた腕時計を見つめる。この時計も帰ってくることはない。
でも時は流れ続ける。
………私には、この時と一緒に生きていく事なんて出来ない。



「…………ばいばい」



もう、お別れだね。
私は窓から身を乗り出し、



身を、投げた。