真っ赤になったワンピース。


これであなたとまたお揃いの色になったよ


真っ赤になった両手。



夕焼けに照らされているからかな。



目の前に転がる赤黒いワンピース。



やっぱりこれが現実だ。




手に持っていたナイフを落とす。
ガタガタと震えが止まらない。



あれ……。



私、何をしたの……?




私が、この手でこの人を……?



悲鳴が近くに戻ってくる。

立ってられない。


吐き気がする。




私、私は………




「そこの女!動くな!」




警察が走ってくる音が聞こえてくる。


気付くのが遅かったよ……



こんな事をしても帰ってくるのはただの虚しさなんだって。



敵討ち?それを私の恋人は望んだ?




――いや、望んでなんかいない。




もう私はただの人殺し。




女の人と同じ。

誰かに恨まれ憎まれる存在。



そうだ、時間はとまっている。



お願い、はじめからやり直させて………




「おい………」



「やめてぇぇぇぇ!!」





私は群がる街の人を押し退けて走った。


私の家まで走った。



やり直すため。



すべてをやり直すため。