「信女さん、何をしているんですか」

「異三郎…いいえ、気にしないで。すぐに行くわ」




生徒会副会長 今井信女。
その名を知らない者は この銀魂高校にはいない。


整った容姿に抜群のスタイル。
容姿端麗 成績優秀 頭脳明晰 運動力抜群 というまさにパーフェクトレディと、
言うにはふさわしいそんな女。


強いて言うならば 決して笑わないことや 口数が少ないこと
剣道も男顔負け、余程の者じゃなければ勝てる者はいない。
そして、男とは極端に関わろうとはしないところだろうか。


そんな今井信女に圧倒され、近付く女子は変わり者ばかり
男は圧倒され話しかける者はいなかった。




________1人を除いて。




「おい、てめェ さっさと生徒会長と行けばいいだろィ。」

「そう言うならドーナツから手を離して」

「そっちが離せばいいんじゃねーか」

「嫌。あなたはいつも焼きそばパンでしょ。まだ余ってる」

「今日はドーナツの気分なんでィ。
てめーも1日くらい他のモン食べなせェ。太るぞ」

「余計なお世話」




沖田総悟。
剣道部のエースにして規律委員の部員。
と言っても 規律委員とは名ばかりの不真面目な生徒だ。


容姿端麗 運動抜群 という外見はとてもいいが、
銀魂高校の生徒は皆「取り柄は顔だけのゴミ屑野郎」
という認識しかない。


そんな沖田総悟と今井信女が並ぶというのは
とても絵になる光景なのだが、
お互い顔の表情を崩さずにポーカーフェイスを保ったまま
会話をする2人なのだが、それでは成り立つものも成り立たない。
それを遠目から見る者たちはまるで見世物のように
少し距離を置いてヒソヒソ話しながらそれを眺めていた。


無表情の2人は どこか冷たいオーラを発しているような
ピリピリとした空気が流れており、それには誰も気付かない。
2人の間だけ 雰囲気が黒かった。