十人の住人

17歳 夏休み④

目が覚めた。
記憶がなかった。
でも時間が経っていた。

「私、寝ちゃってた?」

とりあえず聞いてみた。
そしたら良樹からびっくりする言葉が
帰ってきた。

「別の人格の零くんって子が出てたよ
だから記憶が抜け落ちてるんだよ」

と、言われた。

正直ショックだった。
私は本当に病気なんだ、障害者なんだ、
と感じた。

「一緒に治していこう?
俺がついてるから大丈夫だよ」
「うん…」
「そんな心配することないって
大丈夫だよ」

良樹は笑っていた。
でも私は不安だった。

だって、記憶が出来ないから。

大事な約束も、忘れてしまうのかと思うと、不安で不安で仕方なかった。

でも、良樹がついていてくれるから。
誰かが一緒に治してくれるから。
と、自分の心にいい聞かせて
その日はバイバイした。