ーここライト王国では国の安定のため毎年1人の若い女性をこことは異なる世界。アポズイト王国へ生贄として出されるー
『今年の生贄は--に決定します』



「グアン!見つけたわ!」
「見つかったか〜やっぱメイリーには敵わ
ないな」
わたしこの国で王子であるグアンと遊ぶのが大好きで、ずっとこのままでいられると思ってた。


「グアンーどこなのー?」
「ここだよお母様」
「グアン。お母様はメアリーと大切なお話
があるから本を読んでなさい」
「はい。お母様」
グアンは私にまたね、と手を振りながら部屋に入った。私は話とは近々あるグアンの誕生日パーティーの事だと思った。しかし、

「今年の生贄はメイリー。……あなたよ」

耳を疑った。生贄になるという事はもうグアンと遊べないということ。そんなの…
「グアンのお母様!それは……っ!」
それより先は言えなかった。
「……グアンに会っても良いですか?」
「それも無理よ…もう支度しないと…」
「……はい」



私は身を清め、真っ赤な口紅を塗り、真っ黒なドレスに身を包んだ。 グアンの母に連れられ城の地下にある扉の前に立たされた。
その扉は“光の扉”と呼ばれ、この世の全ての宝石をしき詰めたかのように光り輝き、私は今どんな所にいるのか忘れてしまいそうな美しさだった。
「ここからは一人で行ってもらうことになる
わ。……気をつけて」


私は大きく息を吸い、扉を開け、この先の事に不安を抱きつつ足を踏み入れた……。