「………夢、じゃないよね?」


どうやら信じられないようで、そんな言葉を口にする須藤くんが愛おしい。


「夢じゃないよ、本気。」


私もぎゅーっと腕に力を入れる。



「………海斗はいいの?」


「上原とはもう終わってるよ。
私はもう、須藤くんしか見えない。」


「なにそれ……予想外すぎて困るよ。」



須藤くんはそう言うと私と少し距離をとる。


どこか色っぽいその瞳は、じっと私だけを映し、見つめていた。


「……もう二度と、離さないから。」


その言葉に、その声音に身体がびくっと反応してしまう。


何かに捕らえられたような、そんな感覚にさえ陥った。


そんな時、須藤くんが近づいてきて………




私の唇を塞いだ。
それはいつもより、きつく強引に。




その時の須藤くんは見たこともないくらい“男の人”の顔をしていて………


目を閉じて、受け入れる。


鼓動がさっきよりさらに速くなる。
うるさい。


冬で寒いはずなのに、全く寒さを感じずむしろ全身があつくなる。


唇を離され、須藤くんは私を見て笑った。


それは綺麗で、澄んでいて。
目をそらすことはできなくて………



「俺も、小野田さんが好きだよ。」



彼のその真っ直ぐな言葉がどうしようもなく嬉しかった。


そんな私を見て、須藤くんはもう一度私を抱きしめる。


私はただただ須藤くんに身を任せた。


今度は優しい抱きしめ方だった。



そしてこれからは“本当の恋人同士”として
また新たな1日が始まることになる…….。