「………小野田さん?
いきなりどうして……」


すると頭上で少し焦ったような声を出す須藤くん。


そんな彼が珍しくて思わず笑ってしまう。



「………ちゃんと、上原に話したよ。
“好きだった”って。


それでもう、終わりだねって。」


「………え?」


私の言葉を理解できず、困惑しているようだった。


「………本当は、気づいてたのかもしれない。
私の気持ちが変化してたこと。


だけど気づかないフリしてた。


ちゃんと上原のこと好きだったからこそ、心変わりした自分に対して軽い女だって、思われてほしくなかったから。」


その時顔だけ上にあげると、須藤くんに笑顔はなく目を見張っていた。


「それくらい、私ね。
いつの間にか須藤くんのこと……


好きに、なってた。」


自分から気持ちを伝えるのは初めてで恥ずかしかったけど


それよりも須藤くんに伝えたい気持ちの方が大きかった。


「私ね、須藤くんのことが好き。」


意外にも口から出たのはストレートな告白だった。


これ後になったら恥ずかしくなるやつだ。


でも今はこの言葉以外なにも思いつかなかった。


少しの間沈黙が流れて、その間ずっと心臓はドキドキうるさかった。


この空気、緊張するなーなんて思っていたら……



須藤くんが私の背中に手をまわし、その片方の手を私の頭の後ろにやって、その時初めて抱きしめ返してくれた。


今までで1番ぎゅっと、少し苦しいくらい。


だけどそれ以上にあたたかくて、なぜか泣きそうになる。