人気者の上原はいつも不機嫌





『………と……いと……海斗!』


突然右腕を掴まれて、その時初めて意識が戻ったような感覚に陥る。


振り向けば、俺の腕を掴んでいたのは慎也だった。


少し心配そうに俺を見ている。


『それ以上殴ったら、そいつ死ぬよ。』


殴ったら?
死ぬ……?


ふと周りを見れば敵は全員倒れていて。
その上慎也と俺以外の仲間も全員倒れていた。


残っているのは俺と慎也だけだと。


………でも、明らかに俺たち不利だったはずじゃ……



そんな時、慎也に掴まれた方の手が痛いことに気づいた。


それは軽い痛みじゃなくて、重度の痛み。


それから自分の左手が誰かの胸ぐらを掴んでいたことに気づく。


その相手を見ようと下を向けば………



『………っ!?』



血だらけの、苦しそうに顔を歪めて息がほとんどできていない男がいた。


その男は見覚えがあった。


…………敵の、総長だ。




『もしかして海斗、覚えてないのか?
こいつのこと、ずっと殴り続けていたんだよ。


俺も他とやってたから何回か名前呼ぶしかできなかったけど、海斗全く反応してなかった。』



じゃあ、俺は。
慎也にこうして腕掴まれてまで止められてなかったら今もまだ……



我を失って、殴り続けていたのか?



そう思うとゾッとした。
殺していたかも、しれないと思うと。



ようやくその男から離れる。