ーー初めて美月と会ったのは、人通りが少ない道を歩いている時だった。
『……いやぁっ、やめて……!!』
体格の小さい女が、数人の男に壁に迫られ服を脱がされかけていた。
助ける、助けないというより
明らかに人数も多く、強い男が1人の弱い人間を狙っていることが単に気に食わなかったから
結果的にその女を助ける形になっていた。
その頃は特に女嫌いとかなかったし、正直いうとどうでもよかった。
好きという感情がわからなかったし。
『すいません、ありがとうございま………』
そんな俺に対し、お礼を言い終える前に泣き出す女。
かと思えば相当怖かったのだろう。
俺にしがみついてきた。
特に嫌という感情もなかったし、本当にどうでもよかったからしばらくそのままの状態でいた。
その後、震えながらも1人で帰ろうとしたからさすがに心配で家まで送ってやった。
『私、美月って言います。
本当に助けてくれてありがとうございました。』
帰り道、少し笑顔をみせながら名乗る美月がなんとなく頭に残って。
それが全ての始まり。