〈上原 海斗side〉



「………くそ!」


切れた電話。
あれから掛け直しても繋がることはなかった。



どういう状況なんだ。



なんで、美月が………小野田の元にいる。


意味がわからない。
というか嫌な予感しかしねぇ。


美月のことだ。
あの日のことを忘れるはずがない。


今度は慎也に電話をかける。


すると意外にもすぐ出た慎也。



「………慎也。
お前今日、小野田と一緒じゃねぇのかよ。」


『小野田さん?


一緒じゃないけど……海斗、もしかして小野田さんから連絡きてない?』



特に驚きもしないで慎也はそう答えた。


「連絡はきた。
きたけど、途中で切られたんだ。」


『切られた?
それってどういう……』


「美月。
美月が小野田と会った。


それで小野田の携帯を美月が奪って、俺に『また連絡する』って言って切ったんだ。」


『美月………、海斗それってもしかして……!』


「あいつのことだ。
きっと何か企んでる。


慎也今どこにいる?」


『学校。


だけどまだ遠くに行ってないはずだから、小野田さん探すから!』


珍しく、焦った声を出す慎也。


いつも動じない慎也だから、本当に珍しい。
小野田がそんな慎也の感情を動かす存在なのだ。



「………わかった。
いなかったらすぐこっちにこい。


準備は整えておくから。」


そう言った後、電話を切る。


仲間が心配そうに俺を見ていた。