状況が理解できず、後ろを振り向いたら………
1人の人物が私を見て、笑顔を向けていた。
その人は、“可愛い”という言葉がまさにぴったりな小柄な女の子だった。
同い年か、年下か。
それはわからなかったけど、優しく笑っていた。
……って、違う違う。
今はそれどころじゃなくて、私のスマホを返してもらわないと。
そう、思っていたら
その女の子が私のスマホを自分の耳に当てた。
「………もしもし、電話代わりました。
美月(みづき)です。」
その女の子は声も可愛らしく、落ち着いた声で上原に名乗っていた。
と、いうことは上原の知り合い……?
「ねぇ、海斗。
すごく久しぶりだね。」
………海斗。
それは慣れている呼び方で、その子と上原は知り合いな上に関係が深いのだとわかった。
その時、ふと優斗さんの言葉を思い出す。
上原は一度、騙されたことのあるって………もしかして、この子に?
女の人に騙されたことがあるから女遊びするようになった、としたら………
この子の可能性もゼロではない。
すぐ疑うのは悪いけど……。
「この子、小野田真菜さんだよね?
海斗の大切な人でしょ?
………なら、海斗と私の間であったこと、ちゃんと話した方がいいよね。」
上原の反応は電話越しのため全く聞こえなかったけど、この子と上原が何かしらあったっということは理解できた。
「だから、話すね?
全部話し終わったら、また連絡する。」
そう言って美月さんという人は電話を切り、私にスマホを返してきた。
「ごめんね、いきなり奪っちゃって。
でもこうでもしないと海斗、自分からは話さないと思うから。」
だから私が話そうと思って、と言う美月さん。
話す……?
それって、私の知らない上原を知るってことだよね。



