ーーそれから駅までの道は静かな空気が2人の間で流れていた。
それは私の家まで歩く道も同じで。
だけど気まずさはなく、不思議と心地よい。
何か話すべきかなって思ったけど、結局やめた。
そして、家が近づいてくる。
これから2人が話して、前に進めますように。
そう願っていたら突然………
「小野田さん。」
と名前をいきなり呼ばれて驚く私。
「ど、どうしたの………」
聞き返す前に、須藤くんに抱きしめられる。
これもいきなりでびっくりしたけど、優しい抱きしめ方に私は身をまかせる。
「………本当はね、わかってたんだ。」
そして、ゆっくり話し始める須藤くん。
「わかってた………?」
「うん。父さんが、後悔してたこと。
今まで毎日俺と顔を合わせるたびに、苦しそうな表情して。
ならなんであんなことしたんだって思った俺は、どうしてもそんな父さんが許せなかったし信じれなかった。」
須藤くんはそう言いながら、ぎゅっと少し腕に力を入れた。
「でも今まで俺は、最愛の人である母さんが亡くなって、その時の父さんの気持ちがどんだけ辛かったのかって考えたこともなかった。
今ならそれがどれだけ苦しかっただろうって、考えるようになって。
なのにそれでも父さんに何も言おうとしない俺は相当心の狭い人間だったんだ。」
心の狭い……?
須藤くんが?
そんなこと、ない………。
「そう思えるだけでもすごいよ。
簡単に許せることじゃないから。
なのに須藤くんはお父さんの気持ちも考えようとしたんだよ?
そんな人が心の狭いわけがない。」
だからどうか、自分を下げるのはやめて……。



