「最近さ、海斗くんが変わったの。」
その言葉に一瞬どきりとする。
だって、夏帆は知らないから。
「そうかな?
確かにモテるようになったよね。」
「………うん、それもあるよね。
もう選び放題なはずなのに、私のこと選んでくれて嬉しいな。」
ようやく頬を緩ませ笑う夏帆を見て、何故かほっと安心した。
「そりゃ夏帆が1番に決まってるでしょ。」
上原も夏帆の良さがまだまだわかってないだけであって。
知っていくほど夏帆にはいいところしか増えていかないからね!
「……そんなこと、ないよ。」
「え?」
「私は醜い女だよ。
真菜が思ってるほどいい人間じゃない。
美化しすぎだよ。」
………なんだかいつもの夏帆に見えなくて、少しだけ怖い。
「違うよ?
夏帆はいい子だから!
優しいし、明るいし。
癒しなんだよねぇ。」
中学から知ってる私が言うんだからその通りだと思う。
「………だから、それが違うんだって。」
夏帆にしては少し低い声が出され、素直に驚いて何も言えなくなる。
「………ねぇ、今日真菜を誘ったのには理由があるんだよ。」
「理由………?」
そんなの全然分からなかった。
「そう、理由。
真菜と話したいって思ったから。」
話……。
夏帆の表情を見る限り、本気さが伝わってくる。
「そっか……。」
「うん、でもここじゃ目立つから場所変えてもいい?
真菜と行きたいって思ってたお店があるんだ。」
それも理由の一つだよ、と付け足して言う夏帆について行き、まずは電車に乗った。