「………なんでもないわ。」
上原のお母さんは笑い、明里ちゃんの頭を撫でる。
そして立ち上がり、上原に視線を向けた。
「………海斗……、あなたのお父さんと出会えたこと、結婚してあなたを産んだこと、私はこれっぽっちも後悔なんてしてない。
だって、こんな心優しい子が生まれてきてくれたもの。」
泣きながら、でも笑う上原のお母さんは綺麗だった。
そして私は上原に視線を向ける。
ほら、ね。
上原の家族はみんな、あたたかい。
受け入れてくれるんだよ。
だからどうか、もう自分を隠さないで……
その時
上原の、目からキラリと光るものが頬を伝った。
それは誰よりも綺麗で、あたたかい
涙だった………。