「……小野田さん。」
いつもより低いその声は明らかに怒っているように感じる。
「は、はい………」
その時、ふわっと須藤くんに抱きしめられる。
「す、須藤くん………?」
「お願いだから、もう無茶しないで。」
いつもよりきつく抱きしめられ、少しだけ苦しい。
その分だけ須藤くんがどれほど心配してくれたのか伝わってきて泣きそうになった。
「それなら、須藤くんも………須藤くんもで無理しないでよ………
もし上原が来てくれなかったらって考えると、今でも怖い。」
傷ついてるところなんて見たくない。
「うん、ごめんね。
だから本当に海斗のおかげだ。
やっぱり海斗には敵わないな。」
少し、須藤くんの抱きしめる力が緩む。
「そんなこと、ない……。
洸哉が怖いと思ったときに、須藤くんが来てくれて本当に安心したの………」
須藤くんも、上原も。
私のために助けにきてくれて
本当に嬉しかった。
本当にかっこよかったんだよ。
だからこそ、自分がわからなくなる。
このなんとも言い難い、気持ちに。
モヤモヤするのは、ドキドキするのは
誰に対してか、なんて……。