ヘルメットを被っていたその人は、バイクから降りてそれを脱ぎ………
視線を私たちの方、というか須藤くんの方へ向けた。
「慎也、お前馬鹿だろ。」
視界に映った人物。
それは確かに………
「………っ、上原……!」
上原だった。
須藤くんは驚いたように目を見張り、
「なんで、海斗がいるの?」
と聞いていた。
「情報が回ってこないとでも思ったかよ。
何1人でこんな無茶なことしてんだ。
いくら強いからってこの人数じゃ無理だろ。」
低く、だけどよく通るその声は
私たちの耳にはっきりと届く。
「もしかしてもう仲間じゃないって?
俺は抜けていいなんて許してねぇけど。
………決定権は総長の俺にある。
もし慎也が抜けたつもりでも、まだお前は仲間だ。だからここに来た。」
上原は袖をまくる。
そして視線の先が私と洸哉の方へと変わった。
「………國崎。
俺の仲間2人に手を出そうとしたからには、どうなるかわかってんだろうな。」
…………仲間、2人。
それは、私も入ってるのだ。
何故か涙が出そうになるのをこらえる。
その時、須藤くんが小さく笑った。
「………海斗、お前って本当無茶苦茶だな。」
その笑顔は自然で、上原も須藤くんを見て同じように笑った。
「これが、俺だから。
………ま、時間潰しはこれまでにして。」
そう上原がつぶやいた瞬間、今度は何台ものバイク音が聞こえてきて。
上原たちの仲間だと、なんとなくわかった。
そして………
「お前らいくぞ!」
上原がそう叫んだのを合図に、また何人もの人たちが中に入ってくる。
そこで始まった、大規模な喧嘩。



