ねぇ、おかしいよ。
洸哉はこんな人じゃなかった。
ていうか、今もこんな人じゃないって私は信じたいのに。
ただ目の前に事実があって、信じることはもうできない。
「まあ安心しろ?
死ぬまで殴ったりはしない。
ただ真菜のためにも、気絶するまでボロボロにやらないとなぁ。」
私の、ため……?
「ちょっと、私はそんなの望んでない!
いいから須藤くんに手を出すのは……」
「小野田さん。」
私の言葉を須藤くんが制した。
こちらを見つめるその瞳はやっぱり優しい。
「俺のことは大丈夫だから。」
「………なに、須藤。
お前もしかして勝つ気でいる感じ?」
「さぁ、どうだろうね。
俺もわからないな。」
言葉を濁す須藤くんだけど、笑顔に余裕があった。
だけど、さすがにこの人数相手じゃ無理だよ………
そう思った時、喧嘩は始まった。
私の隣で笑う洸哉。
「ちゃんと見ておくんだよ、真菜。
真菜を洗脳してた須藤がやられる様子をね。」
洸哉は楽しそうで、
どうしてそんなことが言えるのか理解できない。
視線を須藤くんに向けてみれば
何も知らない私でも、須藤くんが強いっていうのがわかった。
全く怯まないし、動きが他の人と違うくて
何人もの人を倒してる。
………けど、数にキリがない。
「やっぱり噂通り強いね、須藤は。
でもさすがにこの人数は無理だろう。
今は動けても、いずれ体力がなくなって動けなくなる。
その後にあいつが殴られていくのを見るんだよ、それまで待ってね真菜。」
待つ?
そんなの待てるわけない。
「ねぇお願い、もういいから。
これ以上はやめて……。
どうしたらいい?
どうしたら須藤くんは無事で済むの?」
視線を洸哉に戻す。
そしたら満足そうに洸哉は笑った。



