それから1週間が経った。


優斗さんと、誠さんが来たあの日からも
2人に特に変わった様子はない。



だけど優斗さんと誠さんのおかげで心は少し軽くなった気がしたけど


やっぱり気分は晴れない。



そんな私たちを見てるからだろうか。
最近夏帆も元気がない。



ごめんね、夏帆。
でも話すわけにはいかないんだ。


そしてついにはクラスの雰囲気まで悪くなった。


うるさかった教室がやけに静かになって
どれだけ2人の存在感が大きいのか改めて感じさせられた。


上原も静かだから、誰も上原の周りを囲わなくなった。



「………おい、上原。
何ぼーっとしてる、前出てこれ解いてみろ。」



ぼーっとしていた上原を当て、私でもわかるはずがない数学の難問を上原に解けと無茶振りする先生。


いつもの上原なら


笑いながらすいません、できませんって
謝るのに今はそうじゃなかった。


ゆっくりと立ち上がり、何も言わずにチョークを手に持ち黒板に数字を書いていく。


そのあまりに完璧な解答に先生は驚き、そして呆然として言葉が出ないようで。


これにはクラスの全員が固まり静かになった。


明らかに今の上原は“いつもの上原”ではないと、みんな思っていただろう。


でもこれが
“いつもの上原”なのだ。


いや、それも違うかもしれない。


“いつもの上原”に近いけど、どこか違った雰囲気を持っていたから。