「そうだね、帰ろっか。」
と返すと、今度は上原が口を開く。
「は?なんでだよ。
お前らいないと騙せねぇだろ。」
どこか不機嫌に聞こえなくもない声。
なんか機嫌損ねちゃった?
「もう終わったことにしたら大丈夫でしょ。
2人の邪魔、したくないし。」
とか言ってみるけど、本当はそんな2人が見たくなかったりもする。
「本当に帰っちゃうの?
……なんか、悪いことしちゃったな。」
小さくつぶやいた夏帆の声は私の耳にもはっきり届く。
「全然大丈夫だから!
気にしないでいいからね?」
夏帆に笑顔を向け、私は立ち上がり鞄を手に取る。
「じゃあまた明日ね。」
帰るときも2人に笑顔で挨拶して、須藤くんと一緒に教室を出る。
大丈夫。
ちゃんと笑えてる。
上原とはいつも通り。
今はまだ苦しいかもしれないけど
きっとこの想いが忘れる日がくると思うから………
「頑張ったね。」
そんな私のことを須藤くんは見抜いてるようで、優しく微笑みそう言った。
その優しさになんだか泣きそうになったけど、私も笑顔を浮かべ
「前に進まないといけないなって、思ったから。」
と、須藤くんに返した。