この笑顔を守れるのなら、こんな胸の痛みなんて我慢できる。


それにいつかはきっと、消え去ってくれると思うから………



「小野田さん。」



そんな時、私の名前を呼ぶ低く優しい声が耳に届いて振り向く。


「どうしたの?」


そう聞くと、ふっと微笑む須藤くんがいた。
そんな須藤くんに教室のみんなは騒ぎ出す。


「なんか慎也雰囲気変わったよなぁ。」
「柔らかくなったっていうのかな?」


なんて口々に話していた。



……確かに、須藤くんは前に比べてよく笑うようになった。


愛想笑いとかじゃなくて、素の笑顔。



「今日、放課後時間ある?」
「放課後?」



いつも一緒に帰ってるけど、どこか寄り道ってことかな。


「あ、デートのお誘いだぁ。」


夏帆が羨ましそうな目で私たちを見て言った。


「……時間空いてるよ!」


断る理由なんてないし、家にいると余計なことを考えてしまう私は誘いにのった。


もしかしたら私に気を遣ってくれてるのかなって、少し考えたりもする。


「じゃあ決まりだね。」


また、笑う須藤くんに
私はもう何度も助けられてる。


そんな須藤くんに感謝しながら、放課後になるのを待った。