「あと、さ……」


何か言いたそうな須藤くん。
なんだろう?



「……ちょっとこっち来て?」
「え……?」



確かにまだ少し2人に間はあったけど、なんか大事な話でもあるのかな?


特に深く考えず、須藤くんに近づくと………



すっと綺麗な顔が近づいてきて、ほんの少し触れるだけのキスを落とされる。



「………っ!?」


あまりに突然のことで、驚きつつ一瞬で顔があつくなる。


「な、何して………!!」


慌てて後ろを向くけど、みんな劇に夢中で私たちに誰も気づいていない。


「誰も見てないよ?」


ふっと微笑む須藤くんにドキッとしたけど、そういうことじゃなくて………!


「い、いきなりどうしたの……!?」


「………うん、やっぱり小野田さんは今の方がいいよ。」


「え……?」


思わず言葉を失っている私に対し、須藤くんは相変わらず笑顔のまま。



「苦しそうな顔をするのは俺の前だけにしてよ。」



そう言って、私の返事を待たずにまたいなくなる須藤くん。



………もしかして、私を元気付けようとしてくれた?



確かに今ので不思議と苦しい気持ちは薄れていた。


だとしても普通こんなところでキスする……!?


少しずれてるような、なんて思いながらも
心の中では須藤くんの優しさに感謝して、私は切り替えようと思った。