人気者の上原はいつも不機嫌





ーー「照明はもう少し右に寄せよう。」


「それで次は………」



まず、リハーサルの通しの前に一度ワンシーンごとに練習することになった。


照明や道具、音響との掛け合いがあるためだ。


「演じる時の上原さ、なんかいつもと雰囲気違うくてかっこよくない?」


「それ思った!
あそこだけ見たら超かっこいいのに……!」


クラスの女子が上原を見て、そう感想を述べていた。


上原はふざけることなく真面目にやっているようで、そんな上原にみんなは少し戸惑いとそのかっこよさにやられていた。


舞台裏から見える2人の姿。


夏帆も、上原も
本当に幸せそうに笑っていて、楽しそうで


胸が締め付けられるけど、もう涙は出ない。




………これで、良かったんだって。




今日初めてクラスにもお披露目となる劇に、みんな舞台裏の前を占領して見ていた。


1番後ろにいる私は、部分的にしか見えないのでそれも救われた。


「小野田さん。」


そんな時、後ろから声が聞こえて振り向くと、舞台裏の入り口から須藤くんが入ってきた。


「どうしたの?」


私は須藤くんの方へと歩み寄る。


「さっきのシーンさ、照明もう一つ増やしていいかって言われたんだけどそれでいい?」


「ああ、うん。
大丈夫だと思うよ?」


確認のためにここに来たのか。
確かにさっきのシーン、少し暗かったもんね。


2人の表情が影になって見にくかったような気がする。