数秒経ってから、重ねられた唇が離れる。
私はゆっくりと目を開けた。
「………フリって、言ったくせに。
嘘つき。」
「お前もわかってただろ。
俺がどんな人間か、なんて。」
上原を見上げて軽く睨んでみると、上原は笑みを返すだけ。
その笑顔がうざいくらいかっこいい。
そしてようやく上原が私から離れた。
その瞬間、さっきまでのが全部夢だったんじゃないかって思えてきて
不思議な感覚に陥る。
「この衣装、もう脱いでいいか?
それともまだなんかある?」
私はこんな気持ちになってるっていうのに、上原は相変わらずいつも通り。
それも腹立つ。
「……いや、ない。
もういいよ。」
だから私もなるべくいつも通りの自分でいようと心がけて話す。
私がいいよと返すと、すぐ衣装を脱いだ上原。
私は何も言わずに手を出し、上原から衣装をもらってたたむ。
さっきまでとは違って、静かな空気が私たちの間に流れていた。



