「本当最低!
人をバカにして……!」
「あ、怒っちゃった。
怖い怖い。」
絶対怖いと思ってないよこいつ……!
「おーい、次海斗が採寸だぞー。」
「わかったー。すぐ行く!
くそー、主役嫌だなぁ。」
その時、上原が採寸のため呼ばれ歩いて行った。
本当、あいつは何してんだか。
「あ、真菜!
採寸終わったから手伝うよ!」
「夏帆!
ごめんね、ありがとう。」
「全然だよ!
道具と衣装は時間が少ないもんね。」
上原の彼女は、本当に優しさの塊だ。
自分の仕事もあるはずなのに手伝いに来てくれたのだ。
「夏帆は劇の練習大丈夫なの?」
「うん!大丈夫。
そもそもまだ台本が確定じゃないみたいで……」
「そっかぁ。
恋愛系なんだよね?」
「そうみたい。
なんか、現代版にした童話らしいの。
うまく演じれるかなぁ。」
童話、だからシンデレラとか白雪姫とかそんな感じか。
「まあ大丈夫だよ、上原だし。
引っ張ってくれるって。」
「でも劇じゃどう出るかわからないでしょ?
もしかしたらわざとセリフ間違いたりしたら……
私がカバーできるかなぁ。」
ああ、そういうことか。
確かに上原ならすごい失態をわざと犯しかねない。