「つれねぇなぁ。
俺がこんなに頼んでるっていうのに。」
「無理なものは無理だからね!」
確か台本担当の人は恋愛系にするって言ってたな。
どんな内容かは劇に出る人しかまだ知らなくて、裏方の人はだいたい仕上がってからのお楽しみらしい。
でも、なんか………もやもやする。
「もう小野田なんて嫌いだ。
こうなったら夏帆とのイチャイチャを舞台で演じてやるかんな!」
冗談だとわかっていても、その場面を想像してしまい胸が締め付けられる。
最近の私、おかしい。
おかしすぎる。
「そんなことしてクラスのみんながどう思うだろうね?批判浴びて落ち込め、バカ。」
「ひどっ、お前ひどすぎる。」
「………ていうかさっきからなんなの!
今仕事してるのわからない!?」
こっちは今、新しいペンキの蓋が開けれなくてずっと戦ってるっていうのに。
そろそろ指が痛くなってきた。
これ固すぎてあかない……!