まあ、いいや。
そんなことはどうでも。
『………なぁ。』
今は口止めをしたいだけ。
そんな自分が発した声は、これも驚くぐらい低く冷たかった。
あれ、俺ってこんな低い声してたっけ。
声変わりはすでに終わっていたけど、いつも明るい自分でいた時は結構うるさくて声のトーンを無意識にあげていたのか。
『今までの、黙っててもらわないと困るんだけど。』
『………い、言わない……!
絶対言わないからお願い……助けて……。』
なんか、俺が悪者みてぇじゃん。
お前らが仕掛けてきた喧嘩だというのに。
『それ、破った時はどうなるかっていうの、ちゃんと考えとけよ。』
そう言って俺は先輩から離れると、先輩は何度も頷き、そして立ち上がった。
ガタガタと震えながら、落ちた傘も拾わずに先輩はふらふらになって去っていく。
……彼氏、ほっといていいのか?
チラッと倒れた男たちを見ると、少し動いてはいるし、呻き声を上げているけど立ち上がれないようだった。
こんなになるまで俺は殴ってたのか。
その自分の行動に、覚えていないことにまた驚きながらなんとなくその場に腰を下ろして壁にもたれる。



