すると1人の女が目に入った。
俺がふった一個上の先輩だ。
そいつは体を震わせながら、雨だというのに濡れた地面の上で腰を抜かしていた。
………また忘れてた。
こいつ、同じ中学の先輩じゃん。
口止めしとかねぇと。
俺が一歩、その先輩に近づくと『ひっ!』と声を上げて座ったまま後ろに下がった。
震えてるのは、怖がってるのは、俺を見て……?
近づくたび、先輩は下がり気づけば壁際まで追いつめていた。
ガタガタ震えながら、俺を見る先輩をみて何故か嫌な気がしなかった。
さっきまで余裕にして笑っていたから余計に今の先輩の表情を見て楽しかった。
……もっと、怖がらせようかなって。
一瞬考えたけど、同じ中学だから面倒ごとになると思いそれはやめておいた。
先輩の前で腰を下ろすと、またビクッと肩を震わせ今度は俺に何度も謝っていた。
そのあまりの変わりようについ笑ってしまう。
……自分でも驚くぐらい、乾いた笑いだった。



