人気者の上原はいつも不機嫌




ある日の夜中。


たまたま目が覚めてトイレに行こうとすると、リビングから怒鳴り声が聞こえてきて


それは明らかに父親の声だった。


リビングのほんの少しだけ開いていたドアから覗いてみると、そこには信じがたい光景があった。


父親が、母さんを殴っていたのだ。


あまりに信じられなくて、でも思い返せばたまに母さんの顔に痣ができていたような気もしていて


もしかしてその痣は全部、父親のせいだったのかってこの時初めて理解した。


確かに父親は厳しい人で、気に入らないとすぐ怒鳴る癖はあったけど暴力を振るうことなんてなかったから呆然とその光景を見ていた。


父親は何に対して怒っているのか。



『勝手にクラブチームなんか入らせて、お前は何がしたいんだ。』


『あいつは唯一の息子だ。
優秀に育ってもらわないと困る。』


『勉強だけでいい。
それなら塾にでも通わせろ。


海斗には私立の中学に行かせるつもりだ。』



全部、全部。


俺のことで母さんは怒鳴られ、殴られていた。