「当たり前でしょ。だからちゃんと夏帆に対して本気になってあげてよね。


あの子は本当に上原が好きなんだから。」



その気持ちが上原に伝わってないのか。


いや、絶対伝わってるはずだ。
あんな真っ直ぐに想ってくれてるんだから。



「……それができねぇのはお前のせいだって気づけよな。」



「………え?」


私のせい?


言ってる意味がわからなくて聞き返そうとしたらタイミング良く駅に着き、今度は多くの人が乗り込んできた。


だから聞くタイミングを逃してしまう。


できないって、夏帆に対して本気になれないってこと?


なんで?


そう考えると悲しい気持ちになるし、同時に違う感情も湧いてくるからそんな自分が嫌になる。


今の私、どうかしてる。


できれば今すぐその感情が消え去ってほしいと願いながら、車窓から見える景色をただじっと眺めていた。