「その父親は厳しくて自分勝手で、思い通りにいかないとすぐ母さんを殴る。
しかも母さんが殴られる原因はほとんど俺だったから、その時からだな。
自分が家でも学校でも“できた人間”、完璧になればこんなこともなくなるって。
結局2人は離婚したんだけど、しばらくは母さん塞ぎ込んでたから、元気づけるために明るい自分も追加したってこと。」
……それは私の想像以上のもので
言う側なんて辛いはずなのに、上原は表情1つ変えずに話していた。
「………で、さっき小野田が言った通り一回壊れた。
ずっと自分作ってたら、本当の自分がわかんなくなって……
そんな時に前の総長だった人に俺は会った。」
そこでようやく理解した。
あんなあたたかい家庭で育った上原がどうして暴走族の総長をやっているのか。
そんなことがあったなんて想像もつかなかった。
「その人に誘われて暴走族入って、そこが唯一俺でいられる場所だったのに
そんな場所でさえも、仲間さえも俺は壊して傷つけたんだよなぁ……」
その時初めて上原は表情を変え、切なげに笑った。
お前よりもっとバカだわ、なんて付け足しながら。



