「いや、俺は優しくないよ。
そう思ってるのは小野田さんだけかな。」
須藤くんがゆっくり離れて、困ったように笑った。
「ごめんね、いきなりこんなことして。
忘れていいから。
さっき言ったことも全部。」
じゃあねって、須藤くんはまた笑顔をみせながらそう言って背中を向けた。
笑顔だったけど、今のは作っているように見えて引っかかった。
だからといって呼び止めることもできず、私は少しして家の中に入る。
……今日は色んなことがあって、感情が左右されて落ち着かなかったな。
ただ、思い出すだけで………
ドキドキするのはどうしてか。
何に対してなのか。
今の私には判別することができなかった。