「今、すっごい悔しい。」
「………へ?」
優しく抱きしめながら、ぽつりと須藤くんがつぶやいた。
悔しい、とは……?
「………海斗と2人で待ってた時、小野田さんたちが戻ってくるの遅いなって思ってた。
その時に三嶋さんが戻ってきて、焦った顔してた。
それで隣に小野田さんがいなくて、何かあったったんだって理解した時にはもう……
海斗はもう走り出してた。」
そう、だったんだ……。
少なからず私はその言葉を聞いて嬉しいと思ってしまった。
「三嶋さんに聞くわけでもなく、海斗はただ走っていったんだ。
だからあの時すぐ海斗がいってなかったら小野田さんはどうなってたかわからないって思ったら悔しいよね。
なんか、色々。
助けられなかったとか………
なんでこんな気持ちになるんだろうな。」
須藤くんはその気持ちがなんなのかわかってないようで、もちろん私にだってわからなかった。
だけど……
「助けようって、思ってくれてただけでも嬉しいよ?ありがとう。
須藤くんは本当に優しいね……」
やっぱり須藤くんが悪い人だなんて嘘だ。
優しさで溢れてる。
だからこんなにも、あたたかくなるんだ。



