人気者の上原はいつも不機嫌




「ごめん、ちょっと抜けるね。」
「………え?」


申し訳なさそうに笑いながら、夏帆はそう言った。


「あ、抜けるって言ってもまた戻るから!
ちょっと気分が悪くて。」


「そんな、じゃあ私もついてくよ。」


「ダメだよそれじゃあ。


海斗くんと須藤くんを置いとくと女の子が寄って来ちゃう。」


1人になりたいのだとわかったから、どうすればいいのかわからず上原を見る。


でも上原は店の人と大きめの声で話しながら笑い合ってて、夏帆の言葉が聞こえていないようだった。


「じゃあまた連絡するね!」
「あっ、待って……」


私の言葉が届くことはなく、夏帆は人混みに紛れて行ってしまう。


だんだんと遠くなる、夏帆の後ろ姿。


私は親友だと言いながら、結局は夏帆に何もしてあげることができないの……?



「………こういう時って、ほっとくべき?」



ふいに、冷たく言い放つような声がどこからか聞こえてきた。


それはある意味聞き慣れたもので。


視線を下へ向けると、上原が私の方を見ないでそう言った。


いきなりトーンの落としたその声に、笑顔がなくなった無表情に、店の人は戸惑っている。