人気者の上原はいつも不機嫌




もう須藤くんを直視できなくて


だけど顔をそらすこともできないから、ぎゅっと目を閉じる。


周りにも心臓の音が聞こえるんじゃないかってぐらいうるさくて、身体中暑い。


ほんの数秒がとても長く感じられた時……


「……なんて、さすがにこんな所ではしないよ。」



と須藤くんが言って離れていくのがわかった。


えっ、もしかして私……



「からかわれた……?」



ようやく目を開け、須藤くんを見つめる。


まだ鼓動は速いし顔もあついけど、それ以上にどういう意図かわからなかったから須藤くんを見るけど………


目を細め、優しく自然な笑顔が綺麗で、何も言えなくなってしまう。



「からかったわけじゃないよ。
でも、照れる小野田さんを見るのもいいかもね?」



それ、やっぱりからかってるじゃん……!


「さ、最低……!
須藤くんのバカ、このタラシ!」


「………うわぁ、盛大な悪口だね。」


「これから何度でも言ってやる!
そんなこと簡単にするから女の人はコロっと落ちるんだから!


本当は女好きなんでしょ!」


「すごい、言いたい放題だなぁ。」


須藤くんは困ったように笑ってから、壁についていた右手が突然私の頬に触れた。


「小野田さんだけ、落ちてほしいんだけどな。」


「………へ?」



一瞬真剣な表情になり、ドキッとして思わず黙ってしまう私。


い、今須藤くんはなんて……


「ほら、駅ついたよ。
行こう。」


「……え?
いつのまに……!?」


その時、タイミングよく最寄りにつき、私たちがいる方のドアが開いたのでスムーズに降りることができた。


というか、私の手を須藤くんが優しく握り、降りやすいよう引っ張ってくれたのだ。